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朝から晩まで2525ならぬ2424(ニヨニヨ)している坊主のブログ。ニコニコ関連記事を中心にアイマスとかボカロとかの感想を言ったりします。 主にニコニコRPG関係、ニコマス動画についてご報告させていただきます~。あとデフォルトで遅レスです… ご了承いただきたく(´・ω・`)

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匿僧/おしまいのP
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ニコニコ動画・読書・その他
自己紹介:
朝から晩までニヨニヨしているダメ僧侶。最近怖いことは毛根が死滅すること。SFとヤンデレとみっしりした漢字がとても好き。
閣下をこよなく敬愛しておりますが、今だハコ購入に至らない僧侶に愚民を名乗る資格なぞ無いため、遠くから密かにお慕い申し上げております…
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おひさしぶりです(´・ω・`)ノ

うっかりイスラエル人が歌った千年の独奏歌を聴いたら感動してしまったよ… 大陸の風を感じるぜ!
ところでニコRPGのエンディングでうっかりロックマンシリーズ×ボカロの世界観が実行されてましたねー。
以前から某ぬえ氏のチャットでボカロ×ロックシリーズの妄想設定をいんしていたのですが、にゃっぽん(ボーカロイド専用SNS)を見ていたら似たような話をみつけてびっくり。ちょっとだけ、イメージ設定をまとめてみます。

最初にいっとくこととして、ロックマンシリーズ(ライト博士orDr.ワイリー開発のロボット)と、ボーカロイド(主にYAMAHA製)は根本的に由来するテクノロジーが違い、用途としてもぜんぜん違ったシリーズです。どれくらい違うかというと携帯電話とパソコンくらい違う。OSからして違う。

それぞれの特徴として…
ボカロシリーズは元来娯楽用のロボットであるため、特徴として、耐久性を完全に犠牲にしています。下手したら人間よりも打たれ弱いかもしれません。ただし、【人間と一緒に暮らせる生活環境】を重視していたため、生活防水が完璧でお風呂にも入れるし、同時に、防塵耐性などもかなりのものがあります。
(ただし、気圧変化・Gには弱い・ぬえ氏からきた設定(w))
そして、メンテナンスを頻繁に受けられない環境で暮らすことを前提としているミクに関しては、ある程度の故障だったら自分の体力で修復可能という特徴もあります。といっても、あんまりたいした問題じゃなく、体の大半に生体部品を利用しているため、擦り傷・切り傷程度だったらほっといてもカサブタになって治るということですね。
同時にバックアップ情報を体内に保持しているため、ある程度のバイオテクノロジーを保持している施設に行けば、わりと簡単に修理用の部品をつくることができます。このあたりが後々、スタンド・アローン型となって生きていく理由になるわけですが…

ちなみに、あくまで”娯楽用”のロボットであるため、攻撃能力はありません。まったくありません。『普通の人間に使用可能な武器類』(銃器など)を使用することはできるため、並みの人間並みに戦うことはできたのですが、それ以上のことは本来不可能なのがVOC@LOIDの特徴でした。この貧弱な身体能力は、あくまで『娯楽用』の存在であるボーカロイドが人間に対して危害を加えられないようにする、という目的もあったのですが… まぁ余談です。

まあ、こういう状況につき、戦時においてボカロシリーズのロボットは後方支援要員・銃後の守りとはなりえても、それ以上のことは何も出来ないという顛末になってしまいました。電力や食料などの資源を必要とする場面に置いては、時に、対人用の臨時ドナーとして臓器を抜かれて壊死する… などという悲惨な結末をむかえたボカロすらも存在したといわれております。

ただし、一つだけ彼らにはライト型(ロックマンシリーズ型)ロボットよりも決定的に勝っている部分がありました。
それは、『エモーショナルエンジン』の搭載による、決定能力・状況判断能力の高さでした。

もともと、『Emエンジン』は本来の用途である娯楽用・歌唱ロボットというボカロシリーズの特性において、「育てる楽しみ」「より繊細な表現能力」を身につけるさせるために搭載された補助機能にすぎませんでした。
焼付けとして存在しているそれぞれの個性に加えて、さまざまな歌を歌ううちに、そこに含まれた細かなニュアンスなどを”感情”としてデータを蓄積、さらに独自の方法で圧縮・公式化してデータ量を節約します。
こうやって学習された感情の集積は性格・気質となって個々のボカロに学習されて、個々のボカロたちの個性を演出しました。本来の機能である”歌”のための容量を喰わないようにするため、この機能は徹底的にサブルーチン化され、表面的には存在すら認知されないことがほとんどでした…
ですが、これに目をつけたのが、パクりの天才Drワイリーだったという(笑

状況により、柔軟にその気質や性格をかえていくボーカロイドたちは、そのせいで、彼らよりもはるかに巨大な論理能力をもったロボットたちよりも、速く、また、かなりの割合で正確な状況判断が可能だったのです。
たとえばKAITOだったら、目の前に困っている人たちがたくさんいた場合、「誰を助けるのがもっとも生存に有利か」などという情報処理をおこなうよりも先に、「女子どもなどの弱い相手」を助けるように動きます。
つまり、「1.困ってる人がたくさんいると認識する」→「2.救助を必要としている人々のデータをとる」→「3.適切な救助対象を選択する」→「4.実行に移る」というタスクが存在しているとき、「2」と「3」の段階を、「KAITO自身の感じた気持ちで選ぶ」という方法ですっとばしてしまうのです。
こういった「状況判断にひつような計算資源の節約」(専門用語で『フレーム問題』とかいいます)自体は、どんなロボットであっても絶対に必要な部分であったため、擬似的な「気質」や「感情」はどんなロボットにも設置されていました。
しかし、常に状況によって気質を更新し続け、かつ、余計なデータを棄てることによって格納のための容量をとることができるボカロの『Emエンジン』は、「感情を持つこと」を至上命題にしないで開発されたほかのロボットたちを遥かに凌駕して使いやすいものとなっていたのです。

これらの「Emエンジン」は「歌を歌うこと」と常にセットになっておりましたが、Drワイリーは本題である「歌を歌う」という機能を大幅に切り捨て… ただし、「歌いたい」という欲求までは棄てられませんでした… 「Emエンジン」の持っている「感情・気質を形成し、さらに、常に更新しつづける」という部分だけを残して状況判断能力の部分に流用しました。
それによって出来上がったのが、「通常のロボットよりも状況判断がはるかに速いレプリロイド」であり、「目の前の状況その他に常になんらかの”感情”を抱くロボット」であったのです…
ただし、彼はボカロシリーズの本能である「歌いたい」という感情を持ちながら、「歌う」という機能をもっていませんでした。あくまでストレスの発散・己の感情をサーチするというレベルにまで切り詰められてしまった「歌う」という機能は、彼にとっては、まともに機能するほどのものではなくなっていたのです… これがまあ、某パツキンのイレギュラーハンターのことだというね(笑

なんかエセAI論理だからうまく説明できてねー(´・ω・`)
でも、こういう理屈でミクたちの血筋がエックスの世界に受け継がれる… とかいう話をぬえ氏としていたのですよ。これを逆にロックマン世界の能力がボカロたちに受け継がれた『イレギュラーハンターMEIKO』なんてのもいるんですが、まあ、これはそのうちまた別の話で(w
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なんや議論の末ルール設定が決まったようだね。
人が増える以上、ある程度のルールが必要なのは分かってるけど、なんかさみしいなあ(´・ω・`)

自分がwikiに出入りし始めたのって、ちょうど絵板とかに常駐する人が出始めた頃だったかー。
SSは公開できる場所がなかったんで、はじめて文字うpおkの場所が出来たときはうれしかったよ。嬉々としてSS書いたよ。たしかソレがながれ氏のパンツゲットの流れだったんで、ほんとに、人が出入りし始めた頃って感じだったね。
現時点だと小説板は絵板よりも規制がゆるい(ていうか、ほぼ無い)けれども、もしも絵板のルールが適用されたら、自分はどうもこうもいかんことになります… だって原作みじんも登場して無いキャラがボロボロ出てる…

二次創作のルールは不文律が原則だけども、一部だと、明文化されたルールが必要になることもある。でも同時に、個人だとそこの網をくぐりぬけることに挑戦する人が常に出てくる。
そういうチャレンジャーな作家さんを常に応援してる身としては、なんだか残念だ。

特に古城シリーズの対決漫画はすごくすごく応援していたから、どんな形でもいいから、続きが見たいんだよなあ。
どうにかならないか…


なんか最近そういう欲が高まってまつ。

単にニコキャラALLだと範囲が広すぎてカバーできないんで、【ニコニコ定番のロボット・人形キャラクター】だけを扱った作品を作ってみたい…と思って、現在紙芝居クリエーターの勉強中。
使いやすいと評判の振り込めない詐欺でもなかなか動画にならない自分涙目…

その場合カバーされるのは基本としてVOC@LOID・ロックマンシリーズ・ローゼンメイデンがあるとして、さらにチョコチョコ登場しているメカキャラはいろいろいる。ドラえ○んとかアンパンマソとかのむしろ朝目系キャラに始まって、てつとかメカ千早、あとは東方系にも人造人間系キャラが複数居るし。
あ、人造人間といえば、ドラゴンボールにも居たな…
個人的に「人型じゃないけどお喋りするメカ」が大好きなので、リリカルなのはシリーズのデバイス(魔法の杖とかあの辺)のレイジングハートあたりもちょっと出してみたい。あとは多少古くなってもいいんだったらマルチとかもアリだし。…今のニコ厨にマルチが分かるかは謎だが…

この手の動画を作るには、基本、【紙芝居クリエーター】と、あとはゲーム部分を作るためのソフトが必要と。やっぱりRPGツクールかなあ…
でも、まずは【紙芝居クリエーター】を使いこなさないと話にならん。どうもバグってるせいなのか、保存するとメッセージ画面の中身がすべてきえるというすさまじいバグにやられてちょっと落ち込んでますが、これでも元気です。
まあ、とりあえずは野望の話、ってことで!

某氏宅でロックマンとボカロのクロスオーバーでいろいろ話していたので、自分の妄想をば。

ミクたちボカロはやっぱり世代があたらしいから(リアル)で、半生のロボットだろーなーとか最近思ってます!
パーツの半分以上は生身(か、それに準ずる素材)で出来てて、だからご飯も食べるよ! 呼吸もするし睡眠もとるよ! とかだというイメージがあります。
なにしろ歌唱用・愛玩娯楽用のロボットだから、そこらへんに一番リソースつぎ込んでると思うのですねー。ほんとに、『歌うため』のロボットなのがVOC@LOIDシリーズみたいだし。
ただ、通常の人間よりも、体の中に発声器官が占めてる部分が多そう。呼吸もたぶん人間のような完全排気型じゃなくって、鳥みたいに空気の流れを一方通行にしてる循環式な気がする。
人間は呼吸をするとき、「肺を収縮させて、いったんすべての空気を排気→再び新しい空気を取り込む」というルートで動かすため、息が続くのに限界があるのです。でも、鳥って実は呼吸のルートが一方通行になっているため、「すべての空気を排気」っていう段階が無いんですね。だから、循環式の呼吸のおかげで、息切れという事態を免れるわけです。これは本来は空を飛ぶときの効果的な空気循環のためだけど、ボカロは歌唱用にこういう呼吸器構造をもってそうだなーと。
で、あとは外部から発声をプログラムとして送り込むためのA/O部分(これが耳)と、人間ぽい行動をとることができるAI。ここらへんはメカだけど、体内バッテリーと生体電気でまかなってるので、基本的には人間と同じ食べ物・飲み物でカロリーを得るだけで行動可能である、と。
ただし、生体部品は常に代謝をしないといけないし、やっぱりフルメタルよりも若干脆い。免疫構造もついてるからパーツ交換による修理は難しそうです。まあ、基本的には運動させるためのロボットじゃないしなー。
効果的な換気と、あと、発声のために強化されてる筋構造のため、普通の人間よりも筋力などは優れていますが、これはあくまで副産物。基本的には、「抱きしめるとあったかくて、ご飯を食べて息もしてて、レントゲンにでもかけないと人間と見分けの付かないロボット」だと思ってます。
体重は、同じ体型の人間+5~10kgぐらいか… 華奢なつくりの足の構造に負担をかけないように、メタル部分のパーツも軽量化されているだろうし。

逆に、ロックのシリーズはほぼ完全に人工素材。完全にメッカメカ。
ロックマンなんかは元は人間と接することがおおい構造だったんで、顔とか手とかの繊細な部分はシリコン素材とかをつかって「人間っぽく」仕上げてると思います。表情もちゃんとある。でも、これも全部プラスチックとかで出来てる。たぶん、電圧をかけると収縮するような人工素材とかをつかってるんだろう。高価なんでとても全身には使えません。
声もデジタル合成だし、正直、あんまり「人間っぽく」することは考えていない。ただし、ものすごく頑丈だし、目的として考えられていることに対しては非常に有能。だいたい中央制御システムが頭部にある必然性すらないので、彼らが人型をしている(ことが多い)のは、人間といっしょに活動するときにいちばん有利で柔軟性のある体型がソレだから、という理由なんだと思われます。
ある程度は故障も視野にはいってるデザインなので、故障したり破損したりしたらパーツを交換・修理。ただし、一回壊れたパーツはきちんと交換するまで直らない。エネルギーは充電式か燃料電池。味覚や触覚がセンサーとして付いている場合はあっても、ご飯を食べたり、寝たりすることはできない。動いているときはパーツが排熱するのであったかいけれども、運動をしないときは体表面の温度は気温と大差ない。

「嗜好品」と、「実用品」の差というべきか……
人間っぽい・維持が比較的簡単・華奢でダメージに弱い=ボカロシリーズ
メカメカしている・通常の機械と同じメンテが必要・頑丈で有能=ロックマンシリーズ
ってイメージでしょうか。

…あと正直下品な話になるんだが、ボカロシリーズは「愛玩用」としても実用に足りると思うんだが、ロックマンシリーズはそうじゃないと思う(ぼそ
だいたい、モノも食べないロボットにとって、足部分は「移動・重量保持」以外の意味はなんにもないからな。顔や手以外の部分に皮膚があるかどうかすら怪しいと思います。エアーマンなんてあきらかにメカだからね!! 可愛いけどね!!
ただあんまりそのへんを喧伝すると品物自体の品性が疑われるから、ある程度はシリーズ内でもバージョンによって差があるだろうなー。

とりあえず、こんなイメージでした。


最近なんかぽつぽつ見かけるので、こんな感じかなと思って書いてみた。
すでにニコニコRPG関係ない気もひしひし…(´・ω・`)


**********



 その日、幻想郷の夜天には、かけた磁器のような白い月が、所在なげに浮かんでいた。

 谷口は足にくくりつけた脚絆の結びを確かめ、二色の布で拠られた紐をぎゅっと締めなおす。藍に茜をかさねた『呉藍』の衣と、どうしてももっていけと橙がきかなかった樫の実のお守り。白玉楼の主人がゆずってくれたいらたか数珠。邪魔にならないように帯に手挟んで、風呂敷でくくった荷物を袈裟懸けに背負う。相変わらず、大時代というか、ほとんど時代劇かなにかのパロディのような服装だ。
 やれやれ、とちょっと苦笑。縁側から立ち上がると、後ろで心配げな顔をしている藍と、その服をぎゅっとにぎりしめている藍。妖狐と化け猫の目が、それぞれ、人には在らざる色をして、けれど、今の彼には確実に『人間らしい』と思える表情を浮かべてこっちを見ていた。
「んじゃ、行ってきます」
 緊張をするなんてガラじゃないし、そんなものを求められても居ないだろう。片手をあげる谷口に、藍は、「はい」と頷いた。
「では、紫様のことをお願いします」
「別に師匠は俺ごときでどうこうできるって相手じゃないっすけど…… みんなが心配してたって伝えてきます」
「谷口、気をつけてね? 帰ってきてね??」
 妹のような化け猫が、ちょっと泣き出しそうな声で言うから、「ん」と答えて、谷口はごしごしとその頭を撫でた。
 空を仰ぐと、藍色の夜天。時の流れから切り離された隠れ里の空。風が吹き、濡れた土と檜葉の香りを感じた。谷口は眼を閉じて、胸いっぱいに、それをすいこむ。
 決して産まれた故郷ではない。だが、今では彼にとって大切な場所である土地の、におい。
「じゃー、お土産、期待しといてくださいっす。俺も藍さんの手料理、楽しみにしてますから」
「……はい」
 藍は、かすかに微笑む。谷口は最後にニッと笑って、庭の外れ、外と中とを隔てる門の扉に、手をかける。
 削った檜の薄い板。茅葺きの門。その、うすっぺらい扉。
 ―――谷口は、ゆっくりと、その『ドア』を開いた。

 

 夜。ミッドチルダ時空管理局、22:45。
 若い訓練生たちはとっくに夕食も入浴も終えて、すでに寮にもどって消灯の時間だ。その例に漏れず、少女たちは昼間のハードトレーニングの疲れを癒すべく、それぞれすでにベットの中にいた。片方はラジオをつけっぱなしのまますでに半ば夢の中をさまよっており、もう片方も枕元の時計を確認し、そろそろ本にしおりを挟んで電気を消そうかと考えていた。
 その瞬間の、出し抜けの、スクランブルサインだ。
「な、何!?」
 転寝の中からいきなりひきずりだされ、髪の短いほうが、泡を食って飛び起きる。もう1人のほうが反応が早かった。とっさに端末を引っつかみ、本部へのチャンネルへと入れ替える。
「こちら、ティアナ・ランスター! どうしたんですか?」
『あ、ティア。起きてたの?』
「……高町教導官!?」

「いいよ、今回は名指しの出動だから。たぶんティアたちの手をわずらわせることじゃない。でもいちおう、出動できる準備はしておいて」
 答えながらも、手早く髪を結い上げ、ジャケットを羽織る。そのまま足早に廊下へと出てくるのは、1人の若い女性。栗色の長い髪、かわいらしい顔立ちに見合わない意思の強そうなまなざし。同じような制服姿の女性がもうひとり、やや戸惑い気味の面差しで、側を急ぐ。
『名指し……? どういうことなんです?』
「所属不明、名称不明の魔導士がひとり、いきなりミッドチルダ中央の上空に現れたらしいの。もちろん、警備隊は警戒を怠ったりなんてしてなかったし、AMFの発動も試みられた。なのに誰一人、所属不明魔導士の侵入に気付かなかった。空戦魔導士が威嚇を試みたけどすべて不発」
「敵意はないって言っているみたい。でも、こちらに投降する気もないらしい。彼の要求はひとつ。『高町なのはに会わせろ』よ」
『それって……』
 息を呑みかけた通信に、ふいに、横から誰かが割り込む。ものすごい大声が響いた。
『それって、むちゃくちゃあやしいじゃないですか!! 1人で行くなんて危なすぎますよ、なのはさん!!』
 金髪の女性は、思わず、顔をしかめる。だが、栗色の髪のほうは、くすりと可笑しそうに笑みをもらしただけだ。
「大丈夫だよ。フェイトちゃんもいっしょに付き合ってくれるし、それに、相手はまだミッドチルダ中央にいるみたいだし。なんていうか、そう、保険かな。わたしが行けば一番簡単にことが収まるんじゃないかって判断みたいだよ」
『でも……』
「それよりもスバル、今日はきつかったんじゃないの? 早く寝ないと明日にひびいちゃうよ」
 だから、待機で十分だから。ね?
 そう言い聞かされて、元気の良かった声が、『わかりました…』と尻つぼみになる。うん、いい子だね。にっこりと笑って、彼女は通信を切ろうとする。けれども最後に一言。
『でも…… でも、なのはさん、ほんとに気をつけてくださいね?』
 むしろ、なんだか親の心配でもする子どもみたいな口調だった。
「うんうん、大丈夫だよ。心配をかけるようなことなんてしない。だから、安心して待っててね。じゃあ」
 プツン。
「……冷静ね、ずいぶん」
「冷静じゃないよ。わたしも、すごく驚いてる」
 スイッチを切った通信機を懐に戻しながら、彼女は、高町なのはは、まったく調子を変えない口調で答えた。
 夜の空は暗いが、警備隊の駐屯地内は明々と照らし出されている。スクランブルサインは一瞬で終わり、事態が危急のものではないということには誰もが気付いているだろう。ただし、『危急』ではないが、『異例』ではある。
 所属不明、名称不明、能力も不明の、正真正銘の『アンノウン』の侵入。さらには、アンノウンが名指しにした相手が、よりにもよって管理局の『高町なのは』と来たのだ。
「映像すら取れない…… 危険じゃないの」
「わたしが行って危険な相手を、警備隊のみんなにまかせっきりにするわけにはいかないよ」
 彼女らしい、といえばこの上もなく彼女らしい言い方に、金髪の女性、フェイトは深いため息をついた。なのははくすりと笑い、横を通りすがり様、彼女の手をぎゅっと握る。
「大丈夫。交戦する気はないもの。相手の誰かさんに用事を聞いて、面倒なことだったら、みんなにあとはお願いするよ」
「でも、もしも交戦になったら……」
「お手伝い、お願いしちゃってもいいかな。スバルに無事に帰ってくるって言っちゃったもの」
 らしいといえば、このうえもなく、らしい言葉ではある。
 フェイトはふたたびやれやれとため息をつくが、今度の表情は、どことはなしに苦笑交じりのものだった。
 
 ミッドチルダの時空管理局中央は、無数に存在する次元世界のなかにあっても、非常に交流が活発であり、そして、発達している都市でもある。だが、その外観はそんな言葉から想像されるよりもずっとシンプルなものだ。機能性を重視した街並みと、無機質な印象をやわらげる豊富な緑地。そして、許可された類の建築物、つまりは管理局関係の建築ばかりが、高層にまで聳え立っているという夜景。
 バリアジャケットへと装備を変え、なのはは、警備隊所属の空戦魔導士たちに先導されるまま、通信塔の頂上を目指した。都市でも目立って背の高いビル。銀色のペンシルのように夜空へと聳え立つ。
 黒い鳥のような衣装の裾を翻しながら、油断なくなのはに追随するフェイトは、思わず、つぶやいた。
「……誰にも発見されずに、いきなりあそこに?」
 そこは、モニター設備を集合した建造物の頂上だ。誰にも気付かれずに、あそこに現れただと?
 そんなもの、気が付いたらカメラのレンズの上に花びらがはりついていたけれども、誰もそれに気付かないまま、一日過ぎたというくらい無茶なことだ。そんなことが出来る魔導士は、最低でもランクA、もっと悪くすれば……
 ふいに、戦闘の空戦魔導士が停止する。問題のポイントにたどりついたらしい。なのはがこちらを少し見て、頷いた。フェイトは埒も無い考えをめぐらせることを止める。
 なのはは、赤い宝玉を抱いた杖を、油断なく構える。凛、と声が放たれた。
「そこの人! 時空管理局警備隊、機動六課所属、高町なのは一等空尉です!」
 あえて、『魔法』をつかって意思を伝えるのではなく、普通に発声をしていた。相手がすべての魔力を遮断しているという可能性にそなえてのことだ。
「こちらの所属は以上の通りです。平和的な交渉を望むのでしたら、そちらの所属を教えてください!」
 しばらく、返事は無かった―――
 だがやがて、なのはが、ハトが豆鉄砲でも食らったような顔になる。ビルのてっぺんにいた誰かさんがぴょこんと立ち上がり、しきりに手をふりはじめたのだ。
 何かわめいているが、声が小さくて聞こえない。とっさの機転で空気の流れを操作する。フェイトの耳にも、その声が、とびこんできた。
「なのはちゃん! なのはちゃーん!! ひさしぶりー! 俺だよ、俺ーっ!!」
 ……なんだ、この陳腐な詐欺のような口調は?
 だが、なのははぽかんと口を開いたまま、動かない。こんな無防備な姿ははじめて見たと、二度驚く。だが、フェイトの肝を冷やす事態は、それだけに収まらなかった。
「俺ーっ! た・に・ぐ・ち!! おぼえてるかーなのはちゃんーっ?」
 その名前を聞いたとたん、なのはは…… ありえざることに…… うっかり、手にした杖を取り落としそうになった。
「―――谷口さん!?」
 とたん、なのはは、つっこむような勢いでそちらへと飛び出してしまう。とっさのことで周りの空戦魔導士たちは反応しなかった。フェイトはあわてて後を追う。
 ビルの天辺に降り立ったなのはは、そのまま、つんのめるような勢いで、見知らぬ誰かのほうへと走っていく。見知らぬ誰か。男だ。しかし、なんだこの服装は? フェイトの知識にある何処の服装とも似ていない奇妙な風体。魔力も感じない。
 だが、走ってくるなのはを両手を広げて迎えた彼は、そのままなのはを抱き上げ、勢いのままで転びかける。可笑しそうに大声を上げて笑い出す。暢気すぎる。誰だ、あれは?
 頭に被っていた傘を背中に避けると、青年と呼ぶにはもう年嵩だが、あきらかにまだ若い男の顔があらわれる。灰色がかった髪をオールバックにして、首の後ろでちいさく結わえていた。顔全体で笑いながら、彼は、なのはの頭をぐしゃぐしゃになでくりまわす。
「うおおーすげーすげー!! でっかくなったなーなのはちゃん! 見違えた! マジで!」
 いやー焦った焦った、と彼は警戒心の欠片もない口調で言う。
「ジクウカンリキョク? クウイ? とかいうからさ、もう、同じ名前の別人かと。なんかすげー怖そうな人とかでてきたらどうしようかとか思ってマジビビってたんだよ。でも、あれほんとになのはちゃんだったのかぁ」
「そうだよ! わたし、今は管理局でお仕事をしてるんだから」
「なんか偉い人みたいだったからさー、驚いたのなんのって」
「えへへ、それなりに、偉い人なんだよー」
 ……ひとり、流れから取り残されて、フェイトには口を挟む暇もない。
 やがて、あまりに密着しすぎていると気付いたのか、なのはは慌てて彼から身を離す。そこでフェイトは、やっと、割り込むタイミングを見つけられる。
「あの…… なのは、あと、そっちの方……」
「ん? ええ? ……おお!!」
 フェイトを見た彼が、眼を輝かせる。なぜだかなのははムッとしたような顔になって、彼のむこうずねをかるく蹴った。
「あの、わたしはなのはと所属を同じくにしている、フェイト・T・ハラオウンと申します」
「あ、はいはい!! 俺、谷口ですっ!」
「……どちら様でしょうか?」
 言われて、ようやく、我に帰ったらしい。
 彼はあわてて真顔にもどり、そして、周囲を見渡す。周りを包囲している空戦魔導士たち。そして、かたわらのなのは。
 フェイトがひさしく見たことのない表情をしているなのはに、ちょっと困り顔で、「なんかマズかったかな」とポリポリと顎を掻く。そしてようやく、フェイトのほうへと向き直ってくれる。
「え、えーっと、俺は谷口。幻想郷の八雲紫の弟子っす。今回はなんか大騒ぎにしてすいません」
「幻想郷……?」
「まぁ、なんていうか、『ここじゃないどこか』って場所っすかね」
 そう言って、谷口は、にっこりと笑った。
 フェイトはしばらく、二の句をつぐこともできなかった。

 

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