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朝から晩まで2525ならぬ2424(ニヨニヨ)している坊主のブログ。ニコニコ関連記事を中心にアイマスとかボカロとかの感想を言ったりします。 主にニコニコRPG関係、ニコマス動画についてご報告させていただきます~。あとデフォルトで遅レスです… ご了承いただきたく(´・ω・`)

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プロフィール
HN:
匿僧/おしまいのP
性別:
非公開
趣味:
ニコニコ動画・読書・その他
自己紹介:
朝から晩までニヨニヨしているダメ僧侶。最近怖いことは毛根が死滅すること。SFとヤンデレとみっしりした漢字がとても好き。
閣下をこよなく敬愛しておりますが、今だハコ購入に至らない僧侶に愚民を名乗る資格なぞ無いため、遠くから密かにお慕い申し上げております…
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あっちゃこっちゃ手を出しまくっていたらブログの取り扱いジャンルがカオスになりました。
なんでちょっとまとめというかなんつか。

まず、ここでメインで書いてるのが、アイマスSS。ニコマス紹介なども含め、アイマス関係の記事が一番多いです。理由は簡単で投下場所がほかにないから(……)
で、ここをたちあげた理由であり、SSがそれなりにあるのがニコニコRPGの関連SS。文字通り、《ニコニコRPG》の二次創作(三次、いや、四次かも)であり、世界観は同動画に準じます。これだとメインがロックマン×初音ミク、海馬瀬人×桂言葉、あと番外編で谷口の幻想入り(ハルヒシリーズ×東方)があります。ニコRPGはアイマスをあまり扱わないのですが、趣味によりたまに閣下がいます。
さらに派生するのがロックマンシリーズ×ニコRPG。これはリンクにも入っているぬえ氏という方が扱っている「脱ガチホモロックマンシリーズ」というモノの派生です。ボカロシリーズとロックマンシリーズを世界観的に混ぜたようなもので、これは… オリジナル?(´・ω・`) 素材がそろったら動画とかにしちゃいたいんですけどねぇ。

現在、自分が稼動させている創作媒体は三つで、《ニコニコRPG・SSまとめ》で「匿僧」名義で書いているもの、《ボーカロイドにゃっぽん》というSNSで書いているボカロSS、さらに「おしまいのP」名義でニコマスにあげてる動画の三つになります。
……。
分散しすぎだと言わざるを得ない!!(´・ω・`)

あとここにもうpってないもので、ニコRPGSSまとめサイトで話した冗談の産物があった…
機会なんでうpっときます。Fooさん×春閣下というわけのわからんSSです。
でもカオスでこそのニコニコですよね。もしも真面目にまとめとかしたらすごいことになりそうだけど、まぁ、それはそれということで…
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やあ(`・ω・´)ノ
しばらくブログを放置している間に、ニコマスPとしてデビューいたしましたよ!(`・ω・´)
なんだかんだでP名も拝命いたしました。「おしまいのP」と名乗らせていただいております。
動画作りはちっとも分からないんで今は底辺もいいところですが… いろいろやりたいことが見つかるのは嬉しいです。SSと動画はぜんぜん違うとひしひしと思いますよ。
私の文章はぜんぜん動画に向かんので苦労が多いですが、まあ、まったりとやっていきたいと思います~。
おしまいのマイリス:http://www.nicovideo.jp/mylist/9266907



初めて見たときCocco好きが口をあんぐりしたけど、その後順調に伸びててすげえ!!
というよりも、Coccoと春香さんって、盲点でしたがこうやって見るとぴったりなのですね。Coccoはアルバムを四枚とベスト版を出しただけで活動休止しちゃった太くて短いアーティストでしたが(現在は二期目の活動をしてますけどね)、出すアルバムごとにまったく違う色が出ているという非常に鮮烈なシンガーでした。

一枚目の【ブーゲンビリア】の、聞いているほうの心をカミソリで切り刻むような鮮烈さ、
二枚目、【クムイウタ】の冷たい雨に濡れるような哀しみ、
三枚目、【ラプンツェル】の疲れ果てた夜の眠りのような慈愛に満ちた優しさ、
そしてラスト、【サングローズ】の別れの言葉。

毀誉褒貶があったのはしってますが、当時、十代として生きてた人間には、非常に重要な歌手だったのは間違いないんじゃないでしょうか。Coccoの歌の、あの、突き刺さるような《悲鳴》が、どっちにしろ必要だった人間が多かったってことなのさ。

コメントでも付いてましたけど、じゃんPのこのPVの春香さんは、終始、やわらかい微笑みでいるにもかかわらず、ほんの1カットだけで見せる慟哭、それだけですべてのイメージが一気に変わるのが非常に印象的です。
冒頭の渋谷の交差点で、美希や真の姿が見えるのに、そこに春香さんがいないのが切ない… というよりも、そこに「わたしがいない」ってことに何を思っていても、きっと、春香さんが自分に許しているのは皆を遠くから応援すること、嬉しかった、楽しかった、幸せだった思い出を思い出すこと、だけだろうことが非常に切ない。
なんか最近は白春香さんのイメージがかなり変わりましたねー。
ダイレクトにニコマスをみはじめてからまだ一年もたってないと思うけれども、それだけでもそうとう… 以前の、「ごくごく平凡な、普通過ぎる女の子」から、「ごく平凡で普通過ぎるのに、優しすぎる女の子」へのイメージチェンジが著しい。

私は閣下から入った人間ですが、現在だとはるるんのことも大好きだぜ!
どっちかというとなんとなくおねえちゃん属性のついてる、やよいとか美希とか(千早を含めてもよし)の年下面子の面倒をみまくってるはるるんが好きだぜ!
でもおねえちゃんってのは、どう頑張っても妹や弟には弱音を吐けないものでもあるのです。実の血縁ならともかく、心情の上での姉ってのはそういうもの。
そういう春香さんが好き。なんかそういういたいけな感じを見てると無性に応援してあげたくなるのだ。ファン心理というものでしょうか。

しかしこれの途中のコンクリの壁に血がぶちまけられるシーンが… 切ない。
春香さんは本当の本当に辛いとき悲しいとき、自分の中の痛みがうちあけた誰かのことも切り刻んでしまうと思うときは、それを誰にも言わないというイメージがあります。逆に千早とか真とかは言いそう。雪歩も言わなさそうだけども、落ち込み馴れ(?)してる上に芯が強い雪歩は、もうちょっと落ち込みの処理が上手そうです。

以下ちょっとはるゆき。

「春香ちゃん、血が出るのはね、痛いからなんだよ。痛いのを我慢したって、怪我をしてるのは治らないの。逆じゃないんだよ」
「あのね… わ、わたし、何もかもダメダメだし、なんにもできない女の子だけど、落ち込むのだけは上手なの」
「落ち込むのとかね、後ろ向きになったりね、穴掘って埋まったりするのにも、上手とか下手があるんだよ? ほんとうに! それでねわたし、落ち込むのだけは、ものすごくプロだから!」
「だから… その、わたしは平気。春香ちゃんが泣いても、叫んでも、自分で自分を痛めるようなことをしても、びっくりしたりしないから。傷ついたりもしないから」
「だからね、わたしのこと、頼って」
「わたしは春香ちゃんの友達でもライバルでも、妹でも、なんでもないもの。だから大丈夫。春香ちゃんが何をしても大丈夫な相手になれるから」
「…ね、春香ちゃん?」

なんかカウンセラーみたいだなゆきぽ。でも、それが良い。
…シネ☆MADのすいぎんPからこっち、はるゆきが気になってしかたながないのですが。どうなんですかこれは。水銀中毒ですね、わかります(´・ω・`)
 
谷口ボーダー商事でバイト中。今日は紅魔館の妹様へお届けもの。
 
 
********
 
”カップを片方”【谷口幻想入り】
 
 別にひとりだからさみしくなんてないわ、と言ったとき、あの人がした顔はとってもおかしかった。私はお腹が痛くなるくらい笑ったけど、いちばん初めのときみたいにだからって心臓がドキドキするくらいじゃなかった。
 
 ひとりじゃなくなると、いろんなことがおこる。
 
 初め、あの人がうちにきたのは魔理沙からのお届けモノを届けるためだった。別にそんなのはメイドにでも任せればいいのに、と思ったけれど、あの人に言わせるといちいち面倒ごとをおこしたくないときにはあの人に頼むのだそうだ。
 あの人はものすごく、ほんとうに、信じられないくらい弱かったけれど、逃げ足と忍び込みだけは誰も勝てないくらい上手。スキマ妖怪の弟子だって言ってるのはほんとうみたいだった。私はそのとき魔理沙が届けてくれた妙な色をしたお菓子に上機嫌で、あの人がいったい何者なのかなんて考えもしなかったけど、そのときにあの人はわたしのこと噂に聞くほど怖い相手じゃないって思ったみたいだった。
 
 怖いって何かな。怯えるって何かしら。あの人がここにくるたびわたしはいろんなことをして遊んでやったので、そのたびにわたしがあの人に期待することが増えてった。脅かしてあげるとびっくりしてあたふたして逃げ出すのや、怖がらせてあげると悲鳴をあげるのとかだけじゃなくって、ものすごくおかしな歌を歌ったり、変な顔をしてわたしを笑わせてくれるのも楽しみにしたりするようになった。
 
 魔理沙のくれるお菓子はヘンな味がしたけど楽しみだった。人間の血が入ってないからだって聞いて、あの人から血を貰った。ちょうだいというより先にくれた血を白くてカリカリしたお菓子につけて食べてみたけど、思ったよりも美味しくなくてちょっとがっかり。がっかりも楽しい。外の人に会うと、おもしろいことがたくさん。
 
「なぁ、フランちゃん。お前、外に出たいと思わないのか?」
「どうして? 別に思わない」
「ここ… 薄暗いし、つまんないし、それに寂しいじゃんか」
「別に薄暗くもないし、つまんなくもないし、寂しくも無いわ」
 それからわたしは、少し考えて、付け加えた。
「それと、【薄暗い】と【さみしい】はそもそもよく分からない」
「【つまらない】は?」
「魔理沙が何かをとどけてくれなくて、あなたが来てくれないこと」
 お姉様と咲夜はいるほうが普通だもの。いても、普通が普通だったら、つまんないはつまんないなんだろう。それを聞いたときあの人はしばらく考え込んでいた。その日は何を言ってもうまく通じなくって、それこそ、【つまんなかった】。
 
 次に来たときは徹底的に遊んでやろうと思ってた。そのときだった。
 
「っちょ…! タンマ! 今日は壊れ物あるからちょっとタンマ!」
「なあに?」
 顔を出すなり吹き飛ばしてやろうと思ってたのに気付かれてたみたいだった。ちょっと悔しかった。わたしがスペルをひっこめると、あの人は胸をなでおろしながら、何かの包みを背中の荷物からひっぱりだしてきた。見てみると、それは、小鳥の模様のカップだった。
「これなに?」
「んー、ん。あとで魔理沙が来るまで、こいつを見てりゃ【さみしい】が分かる魔法の道具」
 魔理沙が【魔法】っていうってことは、ほんとに魔法がかかってるのかしら…
「で、こっちがフランちゃん愛用のカップ」
 どこからとってきたのか、私の使っているボーンチャイナの隣に、あの人はそのカップを並べてみた。わたしは変な顔になったと思う。小鳥が二匹。似てないのに二匹。
「どう思う?」
「並んだわね」
「なんか仲間っぽくないか?」
「…そうかな?」
 
 わかんない。ぜんぜん、よくわかんない。
 
 あの人がいなくなってからも、わたしはずっとテーブルに頬杖をついてカップを見ていた。鳥が二匹。どういう関係かとか考えてた。姉妹。私とお姉様みたいな。主とメイド。お姉様と咲夜みたいな。あと、わたしと魔理沙みたいな… それってなんていうんだろう。
 咲夜が部屋にケーキとお茶をもってきたとき、カップを見て、ちょっとため息をついた。「こんなところにあったなんて」とつぶやいた。
「どういう意味なの」
「洗っておいたものが、いつの間にか消えていて… 誰のせいなのかしらと思っていたのだけれど。申し訳ございません、フランお嬢様。今日のカップは代替でございますが、明日からはこちらに戻します」
 昨夜はそういって、わたしのカップを持っていこうとした。わたしは思わず言っていた。
「待って!」
 咲夜はびっくりしたように振り返った。しげしげとわたしを見た。
「どうなさいました?」
「え…っと」
「何か、このティーカップにご用がおありなのでしょうか」
 無い。わたしは、なんにも無い。
 でも、わたしは困りながら、もう一個のほうのカップを見た。それを持って帰ってしまったら小鳥は一匹。
 …それじゃこまる。残った小鳥が困る。
 咲夜はしばらくわたしを見ていたけれど、やがて、少し苦笑しながら、「かしこまりました」と言ってカップを戻した。
「では、こちらのカップは、こちらのマグのお友達でございますね。分かりました。枕元に会っては邪魔でございますし、どこぞより棚でも探して参りますわ」
「お友達? カップが?」
「ええ、僭越ながら私には、フラン様がそうお思いになっているように思えましたので」
 
 咲夜がいなくなったあと、ますますわたしは分からなかった。カップがふたつ、それが離れちゃいけないのは、お友達だから?
「…あぁ」
 考えていて、やっと、思い当たった。
「そうか、離れちゃったら、【さみしい】からって言いたかったの」
 なるほど、これが【さみしい】なんだ… やっと納得が行った。
 たとえば魔理沙がわたしに会いにきて、このカップのどっちかを「貸してくれ」といっても、わたしはたぶん渡さない。相手が魔理沙でも。たぶんそういうことなのなんだ。思うとなんだか可笑しくなった。
 くすくす笑いながら、羽根布団のなかを転がった。魔理沙と、あと、あの人がくるのが、なんだかすごく楽しみになる。
「はやくこないかな、魔理沙も、あの人も」
 そしたら、カップの取り合いでいっぱい遊べるもの。わたしもたぶん何倍も真面目に遊ぶから、いろいろたいへんなことになるかも。でも、それも楽しい。
「ああ、あとね」
 今度、紫の使いのあの人がきたら、今度こそ名前を聞かなくっちゃあね、とわたしは思った。そういうのってはじめてのような気がして、またおかしくて、わたしはひとりでずっとくすくす笑っていた。
 
 
********
 
紅魔館の小さな妹姫。
谷口の扱いは、たぶん、近所の郵便屋さんポジションかと。
 
 
 

ぬえ氏にプレゼント!

**********

「赤い服のロボット探してるって?」
 それはあたしよ、と彼女は言い切った。
「他に誰がいるっての? ヒトガタで可愛くって、戦う力もないか弱い女の子なんでしょ。連れて行くならつれてきなさいよ」
 答えの代わりには、ガシャン、と音が返事にかえって来ただけだった。彼女は、赤い服のMEIKOは笑った。妙に強がりな印象。虚勢を張るように。
「つっこみも入れてくれないっての? このメイコさんが渾身の自虐ネタかましたっつーのに」
 目の前に迫ってくるのは、まるで工業用の機械をそのままマシンに改造したかのような無骨な印象の機械だった。チッ、とMEIKOは舌を鳴らす。
 何する気なのよ。あたしってこれでもシンガーで、しかもアイドルなんだからね。肉体労働なんてこれっぽっちもできねーっつーのに。
 チチ、とヘッドセットから音が送られてきた。MEIKOは正確にその信号をキャッチする。ミクはもう逃げおおせた。リンとレンが道を開いてくれたようだ。感謝する。あのはねっかえりどもは言うことなんて微塵もききゃしないが、方向さえ定めさせれば文句なく爆走してくれる。おおかた、こんな工業機械どももまとめてジャンクにしちゃったんだろう。あーあ、可哀想に。
「悪いけど、あたし、どうにもあんたたちが好きになれないのよね」
 周りを気にしなくていいのなら、あとは好き勝手やるだけだ。彼女のブーツの底が、じりっ、と地面を踏みしめた。近くのスピーカーを細腕が強引にもぎ取る。そこからすばやく引きずり出したジャックの先端を握り締め、さらに、目の前に迫った小さな工業ロボットを帰す足で蹴り飛ばした。そのまま飛び上がったカウンターの上で、力任せに耳からヘッドセットをむしりとる。火花が散った。人間とまったく見分けの付かぬ面差しから、機械の部品が露出する―――
「さあ、選びなさいよ、あんた」
 握り締めたジャックを己の耳に接続するなり、MEIKOは、どすの聞いた声で怒鳴った。
「あたしもろとも全員まとめて鉄くずになるか、この規格間違いの違法ロボットどもをまとめて撤退させるか、どっちか選びなさいっつってんのよ、この―――」
 みなの背後に、姿が見える。すらりとした痩躯の立ち姿。クロームの輝き。
「―――固ゆで頭(へヴィ・ボイルド)が!」
 メタルマン。
 極限まで強化された金属結合、その滑らかな輝きの下から、鋼鉄色の眼がMEIKOをにらみつけた。その目には、”感情”がある、とMEIKOは思う。こいつは交渉相手になる。だから、わざわざこんな博打を打った。
「あんた、VOC@LOIDだろ」
「ええ、そうよ。あいにくだけどね」
「……愛玩用の肉人形で、戦闘能力なんて微塵もないって聞いてたけどなあ?」
 はん、とMEIKOは鼻で笑った。
「あたしたちの特技は成長力でね。ちゃんとしたマスターにつけば、どんなことだってできちゃうのよ。知ってる? あたしの弟なんて、シンセサイザーから美少女アイドルまでなんでもできるのよ。大笑いよね」
「それで? 答えまだ聞いてないぜ。あんたは戦えるのかどうか」
「戦えるわよ。っていうか、単に自爆できるってだけだけどね」
 カツン、と真っ赤なスカルプが耳のヘッドセットを軽く叩いた。カメリア・レッドのくちびるがきゅっと釣りあがる。
「聞いてるわよ…… あんたたちの緊急停止コード。そいつを音声圧縮したものがあたしのココに入ってる。外部端子から強制入力、あとはエラーが起こって部品が融けおちるまで熱くなれるってわけ。試してみたい?」
「ごめんだな」
「あらそう。やっと意見があったわね」
 MEIKOは、膝が震えるのを感じた。
 虚勢だ。これで撤退してくれないと、自分はどうがんばったって終わりになる。VOC@LOIDだって死ぬのは怖い。むしろ、VOC@LOIDだからこそ、怖いのだ。
 それでも今は、”彼女”のアイディアに、かけるしかない。
 こいつとの取引を成功させるしかない。
「いいことおしえてあげる」
「……」
「ほんとの、あんたのお姫様はね、言ってたわよ」
「……何の話だよ?」
「歯車はおなじとこずっと回り続けるか、さもなきゃ、シャフトが折れて外れるしかないってね。あんたたちは、同じところから離れられないんだ。YorNしかないのよ」
 鋼鉄色のひとみが、わずかに動いた、気がした。
 音がした。ほんのわずかな動作だが、排気音は驚くほどに大きく響いた。スタンバイ状態だったロボットの一つが油圧を下げたのだ。動く気をなくしたということ。
 戦いにはならない。彼は銃口を下げた。
 MEIKOは、力が抜けて、そのままぺたんとカウンターに座り込む。とたん息が荒くなり、弱く、速くなった。そんなMEIKOを、メタルマンは冷徹に見下ろしていた。
「ほんっと、固ゆでね、あんた」
 MEIKOは乾いた声で笑う。
「中間とか無いわけ。あたしを説得して引き入れるとか、脅してあの子の居場所を聞き出すとか?」
「そんなことしても意味がない。俺たちの目的はロックマンだけだ」
「バカなやつ」
「……」
「歯車には、回り続けるか、外れるか、どっちかしかない」
 言いながらMEIKOは、あの少女のことを、思い出していた―――
 緊急停止用のコードは、最後の手段だった。ロボットたちにとっては自爆兵器にも等しい。MEIKOを声帯ごとずたずたに引き裂く代わりに、彼らの戦力にも致命的な打撃を加える。そういう状況だったら、あのひとは手を出さない、と少女は言った。
 ロールは、言ったのだ。
”あの人たちの目的は決まってるもの。ロックマンを、倒すことだけ。だから、あなたと相打ちになることなんて絶対に選ばないし、選べないのよ”
 わたしたちは、
”……あなたたちと違うの。やっぱり機械だから、最期は自分の設定された命令を最優先してしまう。命がかかったりしたら、特になの”
「ねえ、メタル」
「なれなれしく呼ぶな、ボーカロイド」
「あんた、あのコが好き?」
 メタルマンは黙った。MEIKOは震えるくちびるを笑みの形にする。
「あんたの、お姫様なんでしょう。だったら、好きにすりゃいいのに。駆け落ちでもなんでもすりゃいいのに」
「バカが。俺らは、あんたたちみたいな玩具とは違う」
「何が違うの?」
 はっきりと眼を上げた。MEIKOは、彼を見た。金属のかがやきの向こう、鋼鉄のひとみの中に、金属に鎧われた本当のこころの姿を探るように。
「この世界は、誰にとってだって自分のモノよ。好きな人は好き、やりたいことはやりたいことでいいじゃない」
 この世界は、あんたのものなのに。
「じゃないと後悔するわよ、ぴかぴかの歯車さん?」
 チッ、と今度舌打ちをしたのは、メタルマンのほうだった。
「やっぱ殺しとくか、お前」
「あのコに嫌われたきゃどーぞ」
「てめえ……」
「でも、ここで生かしとくとポイントあがるわよ、きっと」
 彼は、ぶつくさいいながら手を収めた。
「お前を見てるとムカついてきた。帰る」
「何よ、こんな美人に」
「ムカつくヤロウを思い出すんだ」
「あら、そんなカッコいい知り合いがいたの。意外だわ」
 行くぞ、と彼が手で招くと、彼らはゆっくりと撤退していった。ぶち抜かれた壁の穴の向こうに無限軌道の立てる音が消えたあたりで、MEIKOは気が付いたように耳に手を当て、「痛ったあ…」と毒づく。
「なによあれ。わりといい男じゃん」
 ―――ふと、ひたむきな眼をした、幼い姿の少女を思い出して。
「……でもロリコンか。だめだな、こりゃ」
 
 どのみち、この戦いは彼女たちのものではない。
 どこか遠くで戦いが終わる。どこか遠くで、またはじまる。

「バカなのばっかりね、レプリカントも、Wシリーズも。攫って逃げりゃいいのよ。あんたのお姫様なんだから」
 ふと思い出したのは、己の妹が恋した少年だ。妹も苦労をしている。なら、彼や彼女の苦労はひとしおだろう。なにしろ、両方が頭の固い(へヴィ・ボイルド)のだから。
 ああもう、ばからしい。あんなのに係わり合いになった不運も、それから、結局のところその面倒を投げ出さない自分も。
 戻ってきてもOKよ、と短い信号を送った。それからMEIKOは、カウンターにごろりと大の字になって、眼を閉じる。
「早くかえんなさいよ、お姫様」
 腹いせに、あの固ゆで(へヴィ・ボイルド)の点数、あげまくってやるんだから。せいぜいあんたも悩みまくってぐるぐるすりゃいいのよ。
 そうしてMEIKOは大きく息を吸い、そして、眼を閉じた。


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ぬえ氏のギザギザロリコンハート支援w
そしてなんかこの姉さんはクイックと似てると思った。赤いつながりか…?
 
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